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「赤ちゃんの頃の砂糖」が将来の健康を左右する?――英国の壮大な研究からわかったこと

「赤ちゃんの頃の砂糖」が将来の健康を左右する?――英国の壮大な研究からわかったこと

先日、「砂糖制限で寿命が延びる」というニュース見出しを目にした方もいらっしゃるかもしれません。実際の研究内容を、なるべく正確に、わかりやすくご紹介します。

どんな研究?

2026年に Nature Communications 誌に掲載された論文です。研究の舞台は第二次世界大戦後のイギリス。当時、砂糖やお菓子は配給制で厳しく制限されていましたが、1953年9月にこの制度が突然終了し、砂糖の消費量はほぼ倍になったといわれています。

研究者たちは、この「配給が終わった前後」に生まれた人たちを比較するという、とてもユニークな方法を使いました。妊娠期からおよそ2歳までの「人生最初の1,000日」を砂糖配給下で過ごした人と、配給終了後に同じ時期を過ごした人、合わせて約6万5千人を何十年にもわたって追跡調査したのです。

わかったこと

  • 乳幼児期に砂糖の少ない環境で育った人は、加齢に伴う病気(生活習慣病など)の発症が約9%低い
  • 全体の死亡リスクが約19%低い
  • 体の「生物学的な年齢」(実年齢とは別の、細胞レベルでの老化度合いの指標)が1歳ほど若い傾向
  • 特に肺・心臓・肝臓で、若々しさを示す結果が出た

もちろんこれは「配給を経験すれば必ず長生きする」という意味ではありません。ただ、乳幼児期の砂糖の少なさと、数十年後の健康状態との間に、無視できない関連が見られたという点が注目されています。

誤解してほしくないこと

この研究が伝えているのは「砂糖ゼロにすべき」ということではありません。果物や牛乳に自然に含まれる糖の話ではなく、お菓子・甘い飲み物・加糖ヨーグルトなど、後から加えられる「添加糖」についての話です。

世界保健機関(WHO)は、大人も子どもも、添加糖を1日の摂取エネルギーの10%未満に、できれば5%未満に抑えることを推奨しています。

乳幼児であれば、甘い飲み物やお菓子を「毎日の習慣」にしないことが現実的な目標です。栄養や発育に必要なエネルギー・たんぱく質はしっかり摂ったうえで、添加糖だけを控える、という考え方です。

歯科医院からひとこと

この研究は全身の健康に関するものですが、私たち歯科医からすると、むし歯予防の意味でも大切な示唆だと感じています。甘いものを頻繁に、だらだらと摂る習慣は、生えたばかりの乳歯をむし歯にする大きな要因です。

  • 短期的には:むし歯予防のために、甘い物の「回数」を減らす
  • 長期的には:将来の食習慣や健康にもつながる可能性がある

「砂糖を食べたら老化する」と不安になる必要はありません。ジュースやお菓子を毎日の習慣にせず、水やお茶を基本にする――それだけで、むし歯予防にも将来の健康づくりにもつながる可能性があります。

参考文献

  1. Zheng J, Zhou Z, Huang J, et al. Early life sugar rationing and ageing related diseases, biological ageing and mortality. Nature Communications. 2026;17:9511. https://www.nature.com/articles/s41467-026-76257-1
  2. Gracner T, et al. Exposure to sugar rationing in the first 1000 days of life protected against chronic disease. Science. 2024. https://www.science.org/doi/10.1126/science.adn5421
  3. World Health Organization. Guideline: Sugars intake for adults and children. Geneva: WHO; 2015. https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028

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