「よく食べられていない」ことが、体と頭の両方に影響するかもしれません
本日は訪問診療の日ですので、その中でよく感じる「食べること」「体力」「もの忘れ」の関係について、最近の研究をもとにやさしくお話ししたいと思います。
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「よく食べられていない」ことが、
体と頭の両方に影響するかもしれません
中国で行われた大規模な調査(65歳以上、約1万人)で、次のようなことがわかりました。
- 栄養が足りていない方(低栄養)は、全体の約17%
- 体の虚弱(フレイル)がある方は、約32%
- もの忘れなど認知機能の低下がみられた方は、約13%
そして詳しく調べると、「栄養不足」と「もの忘れ」は直接つながっているだけでなく、その間に「体の虚弱(フレイル)」が挟まっていることが多い、という結果が出ました。
つまり、こんな流れが考えられます。
食欲が落ちる → 体重が減る・筋力が落ちる → 動くのがおっくうになる → もの忘れが目立ってくる
訪問診療でよく感じること
これは、実際に患者さんのご自宅を訪問していて、私自身も「なるほど」と感じる流れです。「最近食が細くなったな」と思っていた方が、しばらくすると歩くのがゆっくりになり、さらにその後、会話の受け答えが少しゆっくりになる…という経過を、これまで何度も拝見してきました。
もちろん今回の研究は一時点の調査なので、「栄養不足が必ず先に起きる」と言い切ることはできません。ただ、「食べる」「動く」「考える」はバラバラではなく、つながっているということは、日々の診療でとても大切な視点だと感じています。
歯医者だからこそ気づけること
私たち歯科医は、むせやすくなっていないか、噛む力が落ちていないか、口の中が乾いていないか、入れ歯が合っているか、といった「食べる場面」に直接立ち会うことができます。
以下のような小さな変化があれば、ぜひ教えてください。
- 最近、食が細くなった
- 食べるのに時間がかかるようになった
- むせることが増えた
- 体重が減ってきた
これらは、栄養不足や体力低下の「始まりのサイン」かもしれません。とくに夏は、食欲が落ちたり、水分が不足したりしやすい季節です。ご本人はもちろん、ご家族や介護をされている方も、日々の食事や体重の変化に目を向けていただければと思います。
気になることがあれば、かかりつけ医や歯科医師、栄養士など、いろいろな職種で早めに相談し合うことが、こうした悪循環を防ぐ一番の近道だと考えています。
参考文献 Li L, Yang H, Yu L, Xiao S, Zhu F. Association between malnutrition and cognitive decline in Chinese older adults: the mediating role of physical frailty. Front Public Health. 2026;14:1843902. doi:10.3389/fpubh.2026.1843902
