わかな歯科

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万が一の事態から人々を守る「歯の記録」 〜大森基夫先生の講演を聴いて〜

万が一の事態から人々を守る「歯の記録」

〜大森基夫先生の講演を聴いて〜

 昨日、当地域で開催された「三郡市歯科医師会航空機災害対策協議会」の第34回定期総会および特別講演会に参加してまいりました。特別講演では、長年にわたり警察嘱託歯科医として身元確認の最前線でご尽力されてきた大森基夫先生のお話を拝聴いたしました。

 私たちの住む印旛郡市には、成田国際空港があります。当地域の印旛郡市歯科医師会は、1985年の日航機墜落事故が起こる前の1983年から、全国に先駆けて航空機災害への備えに取り組んできました。そして1993年には周辺の歯科医師会と連携し、現在の「三郡市歯科医師会航空機災害対策協議会」へと発展しました。大森先生は、その設立時の第1回総会から関わってこられ、当地域の災害対策を牽引してこられた第一人者でいらっしゃいます。

 講演では、協議会設立当初に行われたアメリカ・シアトルでの航空機災害訓練視察での学びからお話が始まりました。さらに、東日本大震災における福島県相馬市での身元確認作業についても語られました。次々と運ばれてくるご遺体と向き合う作業、歯の特徴から「ご家族ではありません」とお伝えせざるを得ないときのご遺族の落胆、そして現場に出動した歯科医師自身の心にも大きな負担がのしかかること――災害現場の厳しい現実が、静かな言葉の端々から伝わってくる講演でした。

 こうした災害や事故の際、ご本人を特定する大きな手がかりとなるのが、私たち歯科医院が日頃作成している「歯の治療記録(カルテやレントゲン)」です。歯は骨よりも壊れにくく、治療の跡は一人ひとり異なるため、生前の正確な記録があれば、それがご本人を家族のもとへお返しする最後の手がかりになります。逆に言えば、記録が残っていなければ、その手がかりは失われてしまいます。

 大森先生の貴重なご経験を伺い、私たち歯科医院が日々何気なく作成しているカルテの一枚一枚が、いざという時に大きな意味を持つのだと改めて実感いたしました。これからも皆様に安心して通っていただけるよう、確実な診療と正確な記録管理を大切にしてまいります。

【参考文献】

  1. 大森基夫 著『警察歯科医の法医学 令和2年改訂版』
  2. 一般社団法人千葉県歯科医師会「警察歯科医会の活動について」
  3. 厚生労働省「死因究明等推進計画に関する行動計画のフォローアップ」(歯科所見による身元確認について)

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