わかな歯科

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「虫歯を治療した歯は、もう”ダメな歯”なのでしょうか?」

「“治した歯”は命を守る?―19万人の調査が明らかにした驚きの事実」
「虫歯を治療した歯は、もう”ダメな歯”なのでしょうか?」
患者さんからこのようなご質問をいただくことがあります。実は最近発表された大規模な研究が、この疑問に対してとても心強い答えを示してくれました。結論から申し上げると、きちんと治療された歯は、健康な歯とほぼ同じ価値があるということが科学的に裏付けられたのです。
 
どんな研究だったのか?
大阪府で後期高齢者歯科健診を受けた75歳以上の方、約19万人を対象とした調査です。2018年から2020年にかけて歯科健診を受けた方々のその後を追跡し、歯の状態と健康との関係を詳しく分析しました。
 
この研究では、お口の中の歯を4つのタイプに分けて記録しています。まず虫歯になったことがない「健全歯」、次に虫歯を治療して詰め物や被せ物が入っている「処置歯」、そして虫歯があるのに治療していない「未処置歯」、最後に歯を失って何もない「欠損」です。
そして、「どのタイプの歯が何本あるか」と「その後の健康状態」との関係を調べたのです。
 
わかったこと:治療した歯は「健康な歯と同じくらい大切」
研究の結果、とても興味深いことがわかりました。
健康な歯(健全歯)が多い人ほど、元気で長生きする傾向があるというのは予想通りでした。しかし注目すべきは、治療済みの歯(処置歯)が多い人も、同じように元気で長生きする傾向があったという点です。
つまり、「虫歯になったことがない歯」と「虫歯を治療した歯」は、健康を守るという意味ではほぼ同等の価値があるということです。
一方で、虫歯を放置している歯(未処置歯)が多い人や、歯を失っている人は、健康上のリスクが高い傾向が認められました。特に歯がまったくない方は、歯が21本以上ある方と比べて、約1.7倍のリスクがあることが示されています。
 
なぜ「治した歯」が大切なのか?
この結果は、私たち歯科医師にとっても非常に納得のいくものです。その理由をいくつかご説明します。
 
第一に、しっかり噛める状態が保たれることです。治療された歯はきちんと機能しますので、食事をおいしく食べられます。栄養をしっかり摂れることは、全身の健康維持に直結します。
 
第二に、お口の中の環境が良好に保たれることです。虫歯を治療することで、お口の中の細菌バランスが改善され、歯周病などの進行も抑えやすくなります。
 
第三に、定期的に歯科を受診している証でもあることです。処置歯が多いということは、問題があったときに放置せず、きちんと歯科医院を受診してきた証拠とも言えます。このような健康への意識の高さが、全身の健康管理にも良い影響を与えている可能性があります。
 
この研究の「読み方」について
一点だけ注意していただきたいのは、この研究は「虫歯を治療すれば必ず長生きできる」ということを証明したわけではない、という点です。あくまで「治療済みの歯が多い人は、結果的に元気で長生きしている傾向がある」という関連性を示したものです。
とはいえ、19万人という大規模なデータから得られた結果ですので、「お口の健康を保つことが全身の健康につながる」という考え方を強く支持するものであることは間違いありません。
 
患者さんへのメッセージ
この研究結果から、皆さんにお伝えしたいことがあります。
**「治療した歯」を否定的にとらえる必要はありません。**詰め物や被せ物が入っている歯も、きちんとメンテナンスすれば、健康な歯と同じようにあなたの体を守ってくれます。
**虫歯は早めに治療しましょう。**放置している虫歯があれば、できるだけ早く治療を受けることをお勧めします。「痛くないから大丈夫」と思わず、定期健診で早期発見・早期治療を心がけてください。
**治療後のケアも大切です。**治療した歯を長持ちさせるためには、日々のブラッシングと定期的なメンテナンスが欠かせません。「治したから安心」ではなく、「治したからこそ大切に」という気持ちで、一緒にお口の健康を守っていきましょう。
 
おわりに
「残っている歯の本数」だけでなく、「その歯がどんな状態か」まで含めて評価することの重要性を示したこの研究は、歯科医療の意義を改めて確認させてくれるものでした。
皆さんのお口の中にある治療済みの歯は、決して「二流の歯」ではありません。適切な治療とケアを受けた歯は、生涯にわたってあなたの健康を支える大切なパートナーです。
当院では、虫歯の治療はもちろん、治療後の歯を長持ちさせるためのメンテナンスにも力を入れています。気になることがありましたら、いつでもご相談ください。
参考文献
1. Otsuki N, Yamamoto R, Mameno T, et al. Assessing the effectivity of counting the number of teeth with their conditions to predict mortality: the OHSAKA study. BMC Oral Health. 2025;25:1735. doi:10.1186/s12903-025-07275-6
2. 大阪大学 ResOU「歯の健康状態が死亡率予測の鍵に!」研究リリース, 2025年12月2日. https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20251202_3
3. ScienceAlert. The State of Your Teeth Could Predict an Early Death, Study Shows. 2026 Jan 13. https://www.sciencealert.com/the-state-of-your-teeth-could-predict-an-early-death-study-shows
4. 大阪公立大学「歯の健康状態が死亡率予測の鍵に!」研究ニュース. https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-21251.html​​​​​​​​​​​​​​​​

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