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【科学解説】核爆発が人と地球に与える3つの影響とは?|核兵器の脅威

【科学解説】核爆発が人と地球に与える3つの影響とは?|核兵器の脅威

 こんにちは。今回は、最新の科学レビューや研究データをもとに、「核爆発が人や地球にどんな影響を与えるのか」について、3つの視点からわかりやすく解説します。

https://youtu.be/JL4Kqfxg2KU?=qW8_MagY4LDMyrXV

「核兵器は危険だ」とはよく言われますが、具体的にどう危険なのか? その仕組みを知ることで、私たちが平和について考えるヒントにもなるはずです。

核爆発の影響は3段階で起こる

 核爆発は、爆弾が爆発したときに3つの大きな現象を引き起こします。

  1. 熱放射(ねつほうしゃ):まぶしい光と高温
  2. 爆風(ばくふう):ものすごい風と衝撃
  3. 放射性降下物(フォールアウト):見えない放射線の影響

 それぞれどんなことが起こるのか、順番に見ていきましょう。

① 熱放射 ― 光と熱の攻撃

 核爆発が起こると、まず最初に「閃光(せんこう)」とよばれる強い光が一瞬で広がります。これは、爆弾のエネルギーの約30〜50%を占めると言われています。

  • 目が見えなくなる?(閃光盲)
     昼間であれば21km、夜なら85kmも離れていても、目がまぶしすぎて一時的に見えなくなる可能性があります。
  • やけど(熱傷)も深刻
     爆心地(ばくしんち)から11km以内では軽いやけどが、8km以内では皮膚が焼けただれる重いやけどを負うおそれがあります。暗い色の服は熱を吸収しやすく、やけどのリスクが高まります。
  • 中心部の温度は太陽より熱い
     核爆発の中心では、なんと約1億度の温度が発生します。これは太陽の中心の約5倍。人の体は一瞬で炭化してしまうほどの熱です。

② 爆風 ― すべてを吹き飛ばす風

 爆発によって、ものすごい勢いの風が発生します。これが「爆風」です。爆発エネルギーの40〜50%が爆風に使われます。

  • 時速750kmの風が襲う
     爆心地から1km以内では、風速はなんと756km/h。これは旅客機よりも速い風で、ほとんどの建物は崩れ落ち、生き残ることはほぼ不可能とされています。
  • 6kmでも被害は深刻
     この距離でも建物に180トンの力が加わり、風速は255km/hに。飛ばされた破片や倒壊した建物で多くの人が命を落とします。

③ 放射性降下物 ― 見えない死の灰と「核の冬」

 爆発の後、最も長く続く危険が「放射性降下物(フォールアウト)」です。爆発でできた放射性物質が、灰やちりと一緒に空から降ってきます。

  • 空中爆発 vs 地上爆発
     広島や長崎のように「空中爆発」だと放射線汚染は少なめですが、「地上爆発」では地面の土や建物が放射性物質と混ざり、強く汚染されます。これが風で広がり、遠くまで降り注ぎます。
  • 核の冬って何?
     大量の煙やススが空の高くまで届くと、太陽の光が地球に届かなくなり、急激に寒くなることがあります。これを「核の冬」と呼びます。作物が育たず、食料不足になることもあります。
  • 何十年たっても影響がある
     放射線の影響はとても長く続きます。広島・長崎の被爆者の中には、がんや白血病、PTSDなどの健康被害に今も苦しむ人がいます。

「安全な距離」は存在する?

 下の表は、1メガトン級の核爆弾が爆発したときに、それぞれの影響がどれくらいの距離で起こるかをまとめたものです。

影響の種類

距離の目安

内容

爆発中心部

0 km

約1億度。人体は瞬時に炭化

爆風(最大)

1 km

風速756km/h。生存ほぼ不可能

爆風(中程度)

6 km

建物倒壊。死亡リスク高

III度熱傷

8 km

重いやけど。治療がなければ致命的

I度熱傷

11 km

軽いやけど

閃光盲(日中)

21 km

一時的な視力喪失

閃光盲(夜間)

85 km

暗闇でも視力が奪われる可能性

大事なこと:

 この表は、あくまで目安であり、風の向きや建物の構造などによって変わるため、「この距離なら絶対に安全」とは言い切れません。

おわりに:核兵器は人類にとって

本当に必要か?

 この記事では、科学的なレビューに基づいて核爆発の影響を3つの段階で解説しました。

  • 熱放射:一瞬で視力を奪い、高温でやけどを引き起こす
  • 爆風:超高速の風で建物を破壊し、命を奪う
  • 放射性降下物:長期にわたる放射線の脅威と気候への影響

これらの被害は一度の爆発で同時に起こるため、完全に安全な距離というものは存在しません。核兵器がもたらすのは「圧倒的な破壊」と「長期的な苦しみ」であり、その存在自体が人類の未来にとって大きな脅威であることがわかります。

参考文献(出典)

  • 核爆弾から生き延びるには何キロ離れておく必要があるのか?
     https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/180359
  • Wikipedia「核爆発の効果」
     https://ja.wikipedia.org/wiki/核爆発の効果
  • 広島平和記念資料館 学習ハンドブック
     https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/48/9493.html
  • 厚生労働省「放射性降下物の拡散状況」
     https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000934402.pdf
  • 放射線影響研究所(RERF) 寿命調査 第4報
     https://www.rerf.or.jp/library/archives/scientific_pub/lss/tr14-64/
  • 長崎大学「広島・長崎への原爆投下が人間に与えた結末」
     https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/include/file/article/images/2021/03/20210311.pdf

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