子どもの感染症、「かかっておけばいい」はもう古い?
⚫︎子どもの感染症、「かかっておけばいい」は
もう古い?
こんにちは。寒さが厳しくなり、インフルエンザが流行する季節になりましたね。皆さん、体調管理は大丈夫でしょうか?今回は、子どもの感染症について最近の研究からわかった新しい考え方をご紹介します。
昔は「子どもは病気をして免疫をつけるもの」「小さいうちに感染症にかかっておいたほうが、大人になってから重症化しにくい」と言われていました。でも、最近の研究ではどうやらそうではないことがわかってきました。
⚫︎幼少期の感染症が将来の健康に影響?
2025年1月2日、JAMA Network Openに掲載された「Burden of Infections in Early Life and Risk of Infections and Systemic Antibiotics Use in Childhood」という研究論文で、新たな知見が報告されました。この研究は、デンマークのコペンハーゲン大学のNicklas Brustad博士らによるものです。
研究によると、「生後3年間にたくさん感染症にかかった子どもは、大きくなってから重い病気になるリスクが高まる可能性がある」ことがわかりました。特に、風邪や胃腸炎などの一般的な感染症でも、頻繁にかかることで後々の健康に影響を与えることが示唆されています。
⚫︎具体的にはどんなリスク?
この研究では、次のような結果が明らかになりました:
• 3歳までによく病気にかかった子ども
→ 大きくなった後、中程度から重度の感染症にかかるリスクが高くなる。
• 2歳までに肺炎などの下気道感染症を経験した子ども
→ 成人後、呼吸器疾患で早期に亡くなるリスクが約2倍になる。
• 3歳までに16回以上病気になった子ども
→ その後、重い病気になる可能性が2.39倍高くなる。
Brustad博士は「幼少期の感染症負荷が高いことは、その後の感染症リスクの増加と関連している」と述べています。
⚫︎子どもの健康を守るためには?
この研究からわかったことは、「病気をして免疫をつければいい」という考え方は間違いだということです。むしろ、小さいうちから予防できる病気はしっかり予防し、健康を守ることが大切です。
特にインフルエンザやRSウイルスなど、予防接種や衛生管理で防げる感染症については、積極的な対策を取ることが重要です。また、手洗いやマスクなどの日常的な予防策も欠かせません。
⚫︎インフルエンザ流行中!今できること
現在インフルエンザが流行しています。お子さんだけでなく、大人も含めて以下のポイントを意識しましょう:
1. 予防接種を受けましょう
インフルエンザワクチンは重症化を防ぐ効果があります。
2. 手洗い・うがいを徹底しましょう
特に外出後や食事前には必ず行いましょう。
3. 体調管理を心がけましょう
十分な睡眠とバランスの良い食事で免疫力を高めましょう。
⚫︎まとめ
「小さいうちに病気になっておいたほうがいい」という考え方は、今では時代遅れです。Brustad博士らの研究が示すように、幼少期の感染症は将来の健康リスクにつながる可能性があります。だからこそ、小さいうちから予防できる病気はしっかり予防し、お子さんの健康を守ってあげてください。
当院でも、お口の健康だけでなく全身の健康についても皆さんのお役に立てればと思っています。何かご相談があればお気軽にどうぞ!
寒い季節ですが、元気に乗り切りましょう!
Brustad, N., et al. (2025). Burden of Infections in Early Life and Risk of Infections and Systemic Antibiotics Use in Childhood. JAMA Network Open, 8(1), e2351742.