わかな歯科

お知らせ

2024年 航空機事故対策部分訓練(多数遺体対応訓練)に参加して

『災害時の「最後の希望」を支える

~成田空港多数遺体対応訓練に参加して~』

 皆様、こんにちは。普段は歯科診療に携わる傍ら、警察嘱託歯科医師として活動しています。今回は、少し普段とは異なる、しかし私たち歯科医師の重要な社会的役割について、皆様にお伝えしたいと思います。

知られざる歯科医師の使命
 実は、大規模災害や事故が発生した際、私たち歯科医師には重要な使命が与えられています。それは、ご遺体の身元確認です。歯は人体の中で最も強い組織で、災害時にも形を保ちやすく、また一人一人の治療痕が異なるため、身元確認の決め手となることが多いのです。

■ リアルな現場を想定した訓練
 今回の成田空港での訓練では、航空機事故を想定した多数遺体対応訓練が行われました。特に印象的だったのは、今年から新たに加わった「ご遺族対応訓練」です。臨床心理士の方による迫真の演技は、私たちの心に強く響きました。遺体確認という技術的な面だけでなく、深い悲しみの中にあるご遺族への配慮という、人としての対応の大切さを学ばせていただきました。

■ なぜ、この訓練が必要なのか
「このような訓練が必要のない世の中であってほしい」─これは印旛郡市歯科医師会長の言葉です。しかし、私たちは「もしも」のときのために備えておく必要があります。日々の診療所での仕事とは異なり、大規模災害時の対応には特別な心構えと技術が必要となります。その意味で、今回の訓練は非常に貴重な経験となりました。

■ チームで支える「最後の絆」
 訓練を通じて強く感じたのは、この任務が「チームワーク」で成り立っているということです。警察、消防、医療機関、そして私たち歯科医師─それぞれが専門性を活かしながら、大切な方を失ったご遺族に寄り添い、最後の別れまでをサポートします。

私たちにできること
 普段の診療所での治療記録の丁寧な保管も、実は大きな意味を持ちます。いつか、誰かの身元確認の決め手となるかもしれないからです。また、定期的な訓練参加を通じて、緊急時にも適切に対応できる技術を磨いていきたいと思います。

 最後に、このような重い話題をブログでお伝えすることを迷いましたが、歯科医師の社会的役割の一つとして、皆様にご理解いただければ幸いです。

 明日からは、また普段の歯科治療の話題に戻りますので、引き続きお付き合いいただければ嬉しく思います。

ご拝読ありがとうございました。​​​​​​​​​​​​​​​​

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