## 医療現場を知る大臣が描く、

デジタル医療の未来

### ～松本尚デジタル大臣就任が歯科医療にもたらす変化～

　こんにちは。10月21日、高市早苗内閣が発足し、新しいデジタル大臣として松本尚氏が就任されました。実は松本大臣、政治家になる前は救急医療の専門医として、ドクターヘリの普及に尽力された方なんです。テレビドラマ「コード・ブルー」の医療監修をされていたと聞けば、「ああ、あの番組の！」とピンとくる方も多いのではないでしょうか。

　今回は、医療現場を熟知した大臣がデジタル政策を担うことで、私たち歯科医療や患者さんの診療体験がどう変わっていくのか、わかりやすくお伝えしたいと思います。

### なぜ「医師出身」のデジタル大臣が

注目されるのか

　これまでデジタル政策というと、どうしても「技術先行」で現場の実情と合わないことがありました。しかし松本大臣は、救急医療の最前線で命と向き合ってこられた方です。

　救急現場では、一刻を争う状況で患者さんの情報を正確に把握する必要があります。「この患者さんはどんな持病があるのか」「どんな薬を飲んでいるのか」「アレルギーはないか」——こうした情報がすぐに共有できるかどうかで、治療の質が大きく変わります。

　こうした「現場のリアル」を知る大臣だからこそ、単なる効率化ではなく、**本当に医療の質を高めるデジタル化**が期待されているのです。

### 私たち歯科医療にも関係する

「医療DX」とは？

　松本大臣が推進する「医療DX（デジタル・トランスフォーメーション）」は、大きく3つの柱から成り立っています。

**1. 医療情報の安全な共有**
　全国の医療機関で患者さんの情報を安全に共有できる仕組みづくりです。例えば、当院で撮影したレントゲン画像や治療歴を、患者さんが引っ越しや転院された際にも、スムーズに次の医療機関へ引き継げるようになります。

**2. 電子カルテの標準化**
　現在、医療機関ごとに異なるシステムを使っているため、情報のやり取りが難しい状況です。これを統一規格にすることで、医科と歯科の連携もよりスムーズになります。例えば、糖尿病の治療中の患者さんの歯周病治療など、全身疾患と口腔の健康を総合的に管理しやすくなります。

**3. マイナ保険証と電子処方箋の活用**
すでに導入が始まっているマイナ保険証ですが、これをさらに進化させ、お薬の重複や飲み合わせのチェックを自動化します。歯科でも、処方するお薬が患者さんの飲んでいる他の薬と相互作用がないか、瞬時に確認できるようになります。

### 患者さんにとってのメリット

　では、こうした変化は患者さんにとってどんな良いことがあるのでしょうか？

**・初診でも安心な診療**
　初めて来院される患者さんでも、これまでの治療歴やアレルギー情報を正確に把握できるため、より安全な治療が可能になります。

**・どこでも連続した医療を受けられる**
　転居や旅行先でも、あなたの口腔の健康情報にアクセスできるため、継続的なケアが受けやすくなります。

**・待ち時間の短縮**
　保険証の確認作業がスムーズになり、受付での手続き時間が短縮されます。

**・医療費の適正化**
　重複した検査や処方が減ることで、医療費全体の効率化にもつながります。

### 現場を大切にする改革への期待

　松本大臣は、医療従事者向けの会合で「DXは現場を支える道具であり、強制ではなく自発的導入を促すことが重要」と述べています。これは私たち医療従事者にとって、とても心強い言葉です。

　デジタル化は手段であって目的ではありません。あくまで患者さんの健康を守り、より質の高い医療を提供するための「道具」なのです。

　救急医療の現場で、システムトラブルが命に関わることを経験してきた松本大臣だからこそ、使いやすく、現場の負担を増やさないシステム設計を重視してくれるはずです。

### 歯科医療の未来

　当院でも、こうした医療DXの流れに対応しながら、患者さん一人ひとりに寄り添った診療を続けていきます。

　デジタル技術は確かに便利ですが、最終的に患者さんの不安に寄り添い、お口の健康をサポートするのは、私たち医療従事者の「人の力」です。技術を上手に活用しながら、温かみのある医療を提供していきたいと考えています。

　松本デジタル大臣の手腕により、医療現場の声が政策に反映され、患者さんにも医療従事者にもメリットのある改革が進むことを期待しています。

-----