2026年度実施決定!高額医療機器の消費税問題がついに動き出します
# 2026年度実施決定!高額医療機器の消費税問題がついに動き出します
こんにちは。今回は、患者さんにとって直接は見えにくいけれど、実は皆さんが受ける医療の質に大きく関わる重要なニュースをお伝えします。
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2025年10月20日、自民党と日本維新の会が正式に連立政権を発足させ、その政策合意の中に「高額医療機器の消費税負担見直し」が明記されました。これは2026年度中に具体的な制度設計を行うという、初めて実施期限が明確に示された歴史的な一歩です。
## 医療機関だけが抱える
「消費税問題」とは?
実は医療機関には、35年以上も前から続く特殊な税負担の問題があります。
私たち歯科医院を含む医療機関は、歯科用CTやレントゲン、滅菌器などの医療機器を購入する際に消費税を支払います。ところが、保険診療は法律上「非課税」と定められているため、その消費税を診療費に上乗せして患者さんからいただくことができません。つまり、支払った消費税が医療機関の持ち出しになってしまうのです。
一般の企業であれば、商品やサービスに消費税を転嫁できますし、仕入れで払った消費税は還付を受けられます。しかし医療機関の場合、購入時に負担した消費税は国から還付されることもなく、そのまま経営を圧迫する要因となってきました。これが「損税問題」と呼ばれるものです。
## なぜ患者さんにも
関係があるのでしょうか?
「医療機関の経営の話なら、患者には関係ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし実は、この問題は皆さんが受けられる医療の質に直結しています。
高額な医療機器ほど消費税の負担も大きくなるため、医療機関は新しい機器の導入をためらいがちになります。その結果として:
- **より精密な診断ができる最新機器の導入が遅れる**
- **体への負担が少ない治療機器への更新が進まない**
- **都市部と地方で医療設備の格差が広がる**
- **院内感染対策に必要な滅菌設備の更新が後回しになる**
といった影響が生じ、最終的には患者さんが受けられる医療の質や安全性に影響してしまうのです。
## 今回の政策合意の画期的な3つのポイント
今回の自民党と日本維新の会による連立政権の合意には、以下の重要な意義があります:
### 1. 初めて明確な実施期限を設定
これまでも消費税問題の解決は議論されてきましたが、具体的な実施時期は示されていませんでした。今回、2026年度中に制度設計を行うと明記されたことで、実現に向けた大きな前進となります。
### 2. 現実的なターゲットを明示
すべての医療機器を一度に対象とするのは難しいため、まず「高額医療機器」に絞って対策を進めるという現実的なアプローチが示されました。
### 3. 社会保障改革の中核政策に位置づけ
「社会保障13の改革」という重要政策群の一つとして位置づけられたことで、単なる税制の話ではなく、医療制度全体を守るための施策として認識されています。
## 患者さんにとっての具体的なメリット
この制度改革が実現すると、患者さんには以下のような恩恵があります:
**より精度の高い診断や治療の実現**
最新の画像診断装置や治療機器の導入がしやすくなることで、より早期に正確な診断ができ、体への負担が少ない治療が受けられるようになります。当院でも、最新の歯科用機器を導入しやすくなることで、より精密な診断と安全な治療を提供できるようになります。
**地域による医療格差の縮小**
地方のクリニックや病院でも最新技術を導入しやすくなり、都市部との医療格差が縮まります。どこに住んでいても質の高い医療を受けられる社会に近づきます。
**持続可能な医療制度の実現**
医療機関の経営基盤が安定することで、次世代にも質の高い医療を引き継いでいくことができます。これは超高齢社会を迎える日本にとって、非常に重要な意味を持ちます。
## 私たち医療機関の使命
この税制改革は、医療制度の土台を支える重要な一歩です。目に見えにくい部分ではありますが、すべての患者さんの「明日の医療の質」に直結する改革だと考えています。
私たち医療機関も、この制度改革を追い風に、より良い医療を提供できるよう努めてまいります。最新の設備を導入することはもちろんですが、それ以上に大切なのは、一人ひとりの患者さんに寄り添った丁寧な診療を続けていくことだと考えています。
今後も制度の進展や新しい情報があれば、こちらのブログや院内でお知らせしてまいります。ご不明な点やご質問があれば、いつでもお気軽にスタッフまでお声がけください。
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## 参考文献・情報源
1. 医療介護CBnews「高額医療機器の消費税負担見直しへ、自維連立合意 社会保障13の改革 来年度中に制度設計」2025年10月20日
<https://www.cbnews.jp/news/entry/20251020195530>
1. 日本経済新聞「自民党と日本維新の会、連立政権合意書の全文」2025年10月20日
<https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20AP30Q5A021C2000000/>
1. 厚生労働省「消費税と診療報酬について」
<https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken14/index.html>
1. 厚生労働省「医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映」(詳細版PDF)
<https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/140401.pdf>
1. 日本医師会「消費税問題」
<https://www.med.or.jp/dl-med/doctor/report/zeisei/pamphlet2.pdf>
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## 記事を書き終えて:院長の感想
35年以上も解決されずにきた医療機関の消費税問題に、ようやく具体的な動きが見えてきたことを、開業歯科医師として大変心強く感じています。
私自身、開業時や設備更新の際に、この消費税負担の大きさを実感してきました。歯科用CTやデジタルレントゲンなど、患者さんにより良い診療を提供するために必要な機器を導入する際、その消費税負担が経営判断を難しくさせることが何度もありました。
しかし今回、初めて明確な実施期限が示されたことで、「本当に実現するかもしれない」という期待を持つことができます。もちろん、実際の制度設計はこれからですし、課題も多いでしょう。それでも、この一歩が、日本の医療をより良くするための大きな転換点になることを願っています。
患者さんにとっては直接見えにくい問題ですが、これは医療の未来を左右する重要な改革です。私たち医療従事者も、この制度改革を単に経営改善の機会と捉えるのではなく、地域医療の質を高め、患者さんにより良い医療を提供する責任があると改めて感じています。
これからも、制度の動向を注視しながら、常に患者さん第一の診療を心がけてまいります。
