わかな歯科

お知らせ

「jazz not only jazz」が教えてくれたこと ~境界を超える音楽の力~

# 「jazz not only jazz」が

教えてくれたこと

~境界を超える音楽の力~

先日の夜、東京国際フォーラムで開催された「jazz not only jazz2」というコンサートに行ってきました。このタイトルに込められた真意を、この夜ようやく理解することができました。

## 「ジャズだけでないジャズ」の意味とは

「jazz not only jazz」——このタイトルを初めて見たとき、正直よく分からないと思っていました。ジャズなのか、そうでないのか。一体何を伝えたいのだろうと。

しかし、コンサートが始まってすぐにその答えが見えてきました。これは単なるジャンルの名前ではなく、**音楽における境界を超える自由な精神**を表現していたのです。

ジャズは元来、アフリカ系アメリカ人の音楽文化にルーツを持ちながら、ヨーロッパの和声やリズムを取り入れ、即興性を重視した音楽として発展してきました¹。つまり、ジャズ自体が「融合」「境界越え」の精神から生まれた音楽なのです。

## 境界を超える3つの「声」

ステージに立ったアイナ・ジ・エンドさん、椎名林檎さん、中村佳穂さんの3人は、まさに「jazz not only jazz」を体現していました。

**アイナさんの声**は、チェロのような深い響きとヴァイオリンのような情熱を併せ持ち、ロック、ポップス、そしてジャズの要素を自在に行き来していました。ジャンルという境界など存在しないかのように、彼女の声は自由に響きます。

https://youtu.be/URABwFBT8Ok?si=g0ICKFQ7Vp8C8Ofj

**椎名林檎さんの声**は、ハープシコードの繊細さとオルガンの重厚感を兼ね備え、言葉と音楽の境界を曖昧にしていきます。彼女の歌は、歌詞という「言葉」でありながら、同時に純粋な「音」としても私たちの心を揺さぶります。

https://youtu.be/0cWLJvKqJfc?si=5QO9nxY2A4cuPFMh

**中村佳穂さんの声**は、フルートのような透明感で、フォーク、ポップス、ジャズを溶かし合わせます。親しみやすさと洗練、素朴さと高度な技術——相反するような要素が彼女の声の中で美しく調和していました。

https://youtu.be/DGmQRSUuKFY?si=NaCkdabQPkSI8co5

## ジャンルを超えた対話

この夜最も印象的だったのは、3人の「声という楽器」と、ピアノ、ベース、ドラムスなどの楽器陣との**対話**でした。

時には楽器が歌声をそっと支え、時には歌声が楽器を包み込む。そして瞬間的に、すべての境界が消えて一つの大きな「音楽」になる瞬間がありました。それは、ジャズでもポップスでもロックでもない、まったく新しい何かでした。

これこそが「jazz not only jazz」の真意だったのです。ジャズという枠組みを出発点としながら、あらゆる音楽的要素を自由に取り入れ、新しい表現を生み出していく——その自由な精神こそが、このコンサートのテーマだったのです。

## 日常にも息づく「境界を超える力」

音楽だけでなく、私たちの日常生活にも「境界を超える瞬間」は存在しています。職種や年齢、立場を超えた理解や共感、異なる文化背景を持つ人々との心の触れ合い——そんな瞬間にも、この夜感じた音楽の力と同じものがあるのではないでしょうか。

特に、人と人とのコミュニケーションにおいて、「声」が持つ力は計り知れません。言葉の意味を超えて、声の音色や響き、息づかいが相手の心に直接届く瞬間があります。それもまた、言語と音楽の境界を超えた表現なのかもしれません。

## 自由であることの美しさ

「jazz not only jazz」が教えてくれたのは、**カテゴリーにとらわれない自由さの美しさ**でした。

3人のアーティストは、「ジャズシンガー」や「ポップスアーティスト」といった枠に収まることなく、ただ自分らしい表現を追求していました。その結果生まれた音楽は、どんなジャンル分けよりも豊かで、心に響くものでした。

これは音楽に限ったことではありません。私たちも日々の生活の中で、固定観念や既成概念にとらわれることなく、もっと自由に、もっと柔軟に物事を捉えることができるのではないでしょうか。

## 最後に

東京国際フォーラムを出たとき、夜の空気がいつもより爽やかに感じられました。「jazz not only jazz」という言葉が持つ深い意味を理解できた喜びと、音楽が持つ無限の可能性を体感できた感動が、まだ心の中で静かに響いています。

境界を超える勇気、自由であることの美しさ、そして何より、心と心が直接つながる瞬間の奇跡——この夜学んだことを、日々の生活の中でも大切にしていきたいと思います。

皆さんも、何か「境界を超える瞬間」を体験されたことがあれば、ぜひ教えてくださいね。そんな体験こそが、きっと私たちの人生を豊かにしてくれるのだと思います。

----

## 参考文献

¹ テッド・ジョイア『ジャズ史』岩波書店、2018年  
² スコット・デヴォー『ジャズの誕生:アメリカ文化と音楽の融合』音楽之友社、2020年  
³ 菊地成孔『ジャズの知識』新潮選書、2019年

-----

*※個人的な感想・体験に基づく記事です。音楽や芸術の感じ方は人それぞれですので、ぜひ皆さんもご自身の感性で様々な表現に触れてみてくださいね。*

元のページへもどる