一瞬の視線を見抜くキャッチャーに学ぶ「気づきの力」
【夏の甲子園観戦から気づいたこと】
## 一瞬の視線を見抜くキャッチャーに学ぶ「気づきの力」
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## 夏のスタンドでふと思ったこと
夏の甲子園は、テレビ越しでも熱気が伝わってきます。
炎天下で白球を追う球児たち。歓声に包まれるスタンド。
その一瞬一瞬にドラマがありますよね。
試合を見ていて、私が心を奪われたのは「キャッチャー」という存在でした。
ただボールを受けるだけの役割ではなく、チーム全体を動かす“司令塔”。
その洞察力には日常生活にも通じるヒントがあると感じました。
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## 名キャッチャーは
「一瞬の視線」で読み解く
試合中、特に緊迫する場面――例えばノーアウト二・三塁。
この状況でよく用いられる戦術が「スクイズ」です。
ところが、相手打者が構える前にそれを察知してしまうキャッチャーがいます。
ヒントは、バッターが無意識に送る「一瞬の三塁方向への視線」。
そのわずかな仕草を見抜き、すかさずピッチャーに外角へのウエストボールを指示。
結果、相手の作戦を未然に防ぐことができるのです。
神業のような観察力と判断力。
これぞキャッチャーならではの妙技です。
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## 実は日常の中にもある「見えないサイン」
「すごいけれど、私には縁がない」と思われるかもしれません。
でも、私たちの身の回りにも、似たような“サイン”はあふれています。
- **会議での上司の反応**
説明の一部でだけ急に眉をひそめる。そこには「まだ納得していない」という本音が隠れているかも。
- **友人の笑顔の奥**
「大丈夫」と口にしているのに、声が少し小さい。もしかしたら助けを求めているサイン。
- **家族の沈黙**
普段はにぎやかな子どもが、夕飯で黙り込む。学校で何かあったのかも?
口にされないサインに気づけるかどうかで、その後の対応や関係性は大きく変わります。
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## 「気づきの力」を伸ばす3つの習慣
キャッチャーのように「未来を読む目」を育てるには、特別な訓練は必要ありません。
今日からできる小さな工夫を3つご紹介します。
1. **話の内容以外も観察する**
言葉だけでなく、声のトーン・表情・姿勢を合わせて見ましょう。
2. **相手の立場で考える**
「なぜ今この仕草?」と想像してみると、意外な背景が見えてきます。
3. **思い込みをリセットする**
「この人はいつもこうだから」と決めつけず、その日の表情を新鮮に受け止めてみてください。
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## 言葉になる前に、気づいてあげる
キャッチャーは、ピッチャーやチームメイトを支える守り人です。
私たちも同じように、家族や仲間を支える存在になれます。
「なんだか元気ないね」と声をかける。
「無理しすぎないで」と一言添える。
そんな何気ない行動が、誰かの心の支えになることもあるのです。
甲子園のキャッチャーが見せる洞察力を、私たちの日常にほんの少し取り入れてみませんか?
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## 参考文献
* 野村克也 『野村ノート』(小学館)
── 相手の癖や心理を読み取る「ID野球」の真髄を学べる名著。
* 里崎智也 YouTubeチャンネル(元プロ野球 catcher 解説)
── プロならではの視点で、キャッチャーの配球術やスクイズ対策が紹介されている。
* ポール・エクマン 『顔は口ほどに嘘をつく』(河出書房新社)
── 微細な表情の変化=「マイクロ表情」から人の感情を読み取る手法を解説。
* ダニエル・カーネマン 『ファスト&スロー』(早川書房)
── 直感と論理、判断の仕組みを知ることで「気づき力」を磨ける一冊。
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