# 風邪が治っても油断しないで!
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## ~新型コロナと“粘膜免疫”のお話~
こんにちは。今日は「新型コロナに何度もかかると体にどんな影響があるの?」という、多くの方が気になっている疑問について、最新の医学研究を分かりやすくご紹介します。
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### ■ 鼻やのどは「体の入り口」。
そこを守る“見えないバリア”
私たちの体には、鼻・のど・目・腸など「粘膜(ねんまく)」と呼ばれる場所があります。そこは、ウイルスや細菌にとっての**最初の通り道**です。
この粘膜を守っているのが「粘膜免疫(めんまくめんえき)」という仕組みで、特に**sIgA抗体**(エス・アイ・ジー・エー抗体)が大きな役割を果たします。
sIgAは、ウイルスが体の奥に入る前に“鼻で食い止めてくれるボディガード”のような存在なんです。
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### ■ コロナが回復したあとも、
粘膜が弱ることがある
新型コロナにかかると、鼻やのどの粘膜が一時的にダメージを受けます。
その結果、
- ウイルスを退治する白血球(好中球)が疲れて働きにくくなる
- 粘膜の小さな毛(線毛)がウイルスを外へ運び出しにくくなる
- 炎症をコントロールする物質(サイトカイン)のバランスが乱れる
といった状態が報告されています。
つまり、**治ったつもりでも粘膜の防御力が下がっている場合がある**のです。
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### ■ その後にかかりやすい「二次感染」
粘膜が弱ると、他の病原体が入り込みやすくなります。特に注意が必要なのは、**溶連菌(ようれんきん)や副鼻腔炎(ふくびくうえん)**などの細菌感染です。
こんな症状がある場合は、再び病院で相談してください。
- 「コロナが治ったのに、また発熱した」
- 「顔の奥が痛くて、黄色や緑色の鼻水が続く」
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### ■ 自然感染とワクチン、それぞれの特徴
- **自然感染**:体はsIgAもIgGも作るが、粘膜にダメージを残すことがある
- **ワクチン(注射タイプ)**:主に全身の免疫が強化され、重症化を防ぐ効果が高い。ただしsIgAはあまり増えない
つまり自然感染にもワクチンにも一長一短があります。いま注目されているのは、**鼻スプレー型の「粘膜ワクチン」**で、粘膜と全身の両方を守れる新しい方法として研究が進んでいます。
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### ■ 日常でできる「粘膜ケア」
「それでは、私たちにできることは?」というと…毎日の生活習慣が大事です。
- 栄養バランスのよい食事(特にビタミン・亜鉛)
- アレルギー性鼻炎のコントロール
- 生理食塩水でのやさしい鼻うがい
- 睡眠と休養をしっかりとる
これらは粘膜を元気に保つうえで大切な習慣です。
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### ■ まとめ
- 新型コロナにかかると、治った後でも粘膜の守りが一時的に弱ることがある
- その結果、細菌による二次感染(副鼻腔炎など)が起きやすい
- ワクチン接種は粘膜免疫には弱いが、重症化を防ぐ効果が高い
- 日常生活では「粘膜ケア」と「ワクチンの上手な活用」が予防につながる
治ったと思っても油断せず、ご自身の鼻やのどの調子に注意を払いましょう。
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### 【参考文献】
1. Wang, Z., Lorenzi, J.C.C., Muecksch, F. et al. Enhanced SARS-CoV-2 neutralization by dimeric IgA. *Nature Immunology*, 23, 22–31 (2022).
2. Watanabe, T. et al. Mucosal immunoglobulin A response and nasal viral load in patients with COVID-19. *Japanese Journal of Infectious Diseases*, 2023.
3. 日本耳鼻咽喉科学会「COVID-19と副鼻腔炎の関連性に関する調査報告」(2023年)
4. CDC. Understanding How COVID-19 Vaccines Work.
5. WHO. Considerations for the development of nasal COVID-19 vaccines.
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