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食べ物の着色料で皮膚が透ける?スタンフォード大学の画期的発見

# 食べ物の着色料で皮膚が透ける?

スタンフォード大学の画期的発見

 皆さんこんにちは!今回は科学界で話題になっている驚きの研究成果についてお話しします。普段何気なく食べているスナック菓子やジュースに含まれる黄色い色素が、なんと皮膚を透明にできるかもしれないという研究です。これはどういうことなのか、わかりやすく解説していきましょう。

## 皮膚が「透明」になる不思議な現象

 2024年9月、スタンフォード大学の研究チームが、一般的な食品着色料を使ってマウスの皮膚を一時的に透明にすることに成功しました。使われたのは「タートラジン」という色素で、日本では黄色4号として知られています。この色素はチートスやドリトスなどのスナック菓子、キャンディ、清涼飲料水など、私たちがよく口にする食品に広く使われています。

 研究チームは、このタートラジンを水に溶かした溶液をマウスの皮膚に塗ると、なんとわずか数分で皮膚が透明になり、下にある血管や内臓を直接見ることができるようになったのです。しかも、水で洗い流すと元に戻るという、まるで魔法のような現象です。

## なぜ透明になるの?その仕組み

 皮膚が透明になる仕組みは、光の物理学と関係しています。皆さんも理科の授業で「光の屈折」について習ったことがあるかもしれませんね。

 通常、私たちの皮膚は光をあちこちに散らばらせる(散乱させる)性質を持っています。これは皮膚の中の水分(屈折率が低い)と、脂質やタンパク質(屈折率が高い)の間に屈折率の差があるからです。この差があると、光はまっすぐ進めずに散乱してしまうのです。

 タートラジンは青色光と紫外線を吸収する性質を持っています。タートラジンを水に溶かして皮膚に塗ると、水分の屈折率が変わり、脂質やタンパク質の屈折率と近くなります。すると光の散乱が減って、特に赤色や橙色の光が皮膚を通り抜けるようになり、皮膚が透けて見えるという仕組みです。

 これは高校の物理で学ぶ光の屈折の原理が応用された現象なのです。

## 実験ではどんなことが見えたの?

 研究チームはまず、鶏むね肉のスライスにタートラジン溶液を塗って実験しました。すると肉が透明になり、下に置いてあった「スタンフォード」という文字がはっきり見えるようになりました。

 次に生きているマウスを使った実験では、マウスの頭や腹部にタートラジン溶液を塗ると、頭蓋骨の表面を走る血管が髪の毛の1/50ほどの細さ(0.001mm)まではっきりと見えるようになりました。さらに腹部では、肝臓や小腸、膀胱などの内臓が見えるだけでなく、それらが動いている様子まで観察できたそうです。

 これまで内臓を見るには手術や内視鏡が必要でしたが、この方法なら切開することなく、生きたまま内臓を観察できるのです。

## 安全性は大丈夫?

 タートラジンは長年食品に使用されてきた着色料で、アメリカのFDA(食品医薬品局)にも認可されています。研究ではマウスの皮膚にわずかな炎症が見られましたが、それ以外に健康への悪影響は確認されませんでした。

 また、マウスの体内に吸収された余分なタートラジンは、48時間以内に尿として排出されることも確認されています。透明化処理を施したマウスの成長や生存率も、処置していないマウスと変わらなかったそうです。

## この技術がもたらす未来

 この技術が実用化されれば、医療分野に大きな変革をもたらす可能性があります。

例えば:

1. 採血するときに静脈を見つけやすくなる
2. レーザーでの刺青除去が簡単になる
3. がんの早期発見や早期治療に役立つ可能性
4. レーザー治療の効果を高める

 さらに、高価なCTスキャンやMRIの代わりになり、医療費の削減にも貢献するかもしれません。

 ただし、人間に応用できるかはまだ分かりません。人間の皮膚はマウスより約10倍厚いため、同じように透明になるかは不明です。しかし研究者たちは「人間の皮膚にも応用できる可能性は大いにある」と期待を示しています。

## 歯科領域での応用可能性

 興味深いことに、タートラジンは実は歯科の世界ですでに使用されています。「Fバニッシュ歯科用5%」という象牙質知覚過敏(しみる歯)の治療薬には、タートラジン(黄色4号アルミニウムレーキ)が添加剤として含まれているのです。

  Fバニッシュ歯科用5%の添付文書によれば、この薬剤の臨床試験では副作用は認められなかったとされています。ただし、使用上の注意として、剥離片は飲み込まず吐き出すよう指示があります。これは人体への安全性への配慮からです。

 このことから、タートラジンの歯科領域への応用には既に一定の安全性評価がなされていると考えられます。将来的には、この透明化技術が歯科医療にも革新をもたらす可能性があります。例えば:

- 歯肉や歯周ポケット内部を透明化することで、歯周病の早期診断が容易になるかもしれません
- 根管治療において、複雑な根管形態の把握が向上する可能性があります
- 初期の虫歯をより詳細に観察できるようになるかもしれません

ただし、口腔内は常に唾液にさらされているため、タートラジン溶液の効果持続時間や適用方法には工夫が必要でしょう。また、タートラジンはアレルギー反応を引き起こす可能性もあるため、安全性への配慮は欠かせません。

## まとめ:身近な物質が医療を変える

 私たちが何気なく食べている食品の着色料が、このような画期的な医療技術に応用できるという発見は、科学の持つ可能性の大きさを改めて感じさせてくれます。

 さらに、すでに歯科治療薬に含まれているという事実は、人体への応用の可能性をより現実的なものにしています。この技術はまだ研究段階ですが、将来的には様々な医療分野、そして歯科医療での応用が期待されています。

 私たちの身近にあるものから医療の革新が生まれる可能性があるというのは、とても興味深いですね。

## 参考文献

1. Zihao Ou, et al. (2024). "Refractive-index matching enables instant and reversible optical clearing of living mouse skin". Science. Vol. 385, Issue 6711.

2. Carenet. (2024, October 8). 食用色素でマウスの皮膚の透明化に成功. Carenet.

3. GIGAZINE. (2024, September 6). スナック菓子に含まれる食品着色料を塗って「皮膚を透明にして内臓を見る技術」が開発される.

4. tipnews. (2024, September 8). 食品着色料「タートラジン」で、生きた動物の皮膚を透明化することに成功. note.

5. AASJ. (2024, September 7). 生きたマウスの皮膚を透明にして内臓を観察できる.

6. ビーブランド・メディコーデンタル. (2023, October). Fバニッシュ歯科用5%添付文書.

7. 藤本. (2024, September 6). スタンフォード、物質により皮膚が(一時的に)見えなくなる.

8. FEEDデンタル. (2024, August 22). Fバニッシュ歯科用5%の通販.

9. 今日の臨床サポート. (2023, January 1). Fバニッシュ歯科用5%.

10. 医薬情報QLifePro. Fバニッシュ歯科用5%の添付文書.​​​​​​​​​​​​​​​​

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