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食物の物性と安全な嚥下:「すれる」ことの重要性

【食物の物性と安全な嚥下:
「すれる」ことの重要性】
⚫︎この研究が伝えたいこと
 安全に食べ物を飲み込むためには、「舌と口蓋(上あご)との間で食物が適切に『すれる』こと」が必要不可欠です。単に舌の上に食べ物を置くだけでは、安全な嚥下は実現できません。
 
⚫︎研究内容の解説
 
実験で使用した3種類のとろみ剤
<作成試料の調整表>
1. キサンタンガム系(試料A)
使用量:0.75-0.85g/100ml
特徴:少量で効果的なとろみがつく
2. グアガム系(試料B)
使用量:0.86-0.91g/100ml
特徴:中程度の使用量が必要
3. 澱粉系(試料C)
使用量:3.9-4.0g/100ml
特徴:多量の使用が必要
 
とろみの特性を示す重要なグラフ
定常ずり粘度のグラフ
縦軸:粘度の強さ
横軸:ずり速度(力を加える速さ)
特徴:キサンタンガム系は力を加えると粘度が適度に低下する特性を持つ
研究結果
 筋活動量のグラフ
キサンタンガム系が最も高い筋活動(84.9%)を示し、これは他の2種類(約72%)と比べて統計的に有意な差がありました。
嚥下のメカニズム
 ずり速度の概念図
Logemannの図は、食べ物を飲み込む時の舌と口蓋の動きを示しています。右側の図は、この時に食べ物にかかる力を表現しています。
 
臨床での重要ポイント
1. とろみ剤の選択
患者の状態に応じた適切な種類の選択
必要最小限の使用量で効果を得る
2. 安全な嚥下のための3要素
適切な粘度の確保
舌と口蓋での「すれる」動きの実現
継続的な評価と調整
 
まとめ
この研究は、安全な嚥下には食物の物性が重要であり、特に「すれる」という現象が不可欠であることを科学的に証明しました。キサンタンガム系のとろみ剤は、この「すれる」という特性を効果的に引き出すことができ、少ない使用量で高い効果が得られることがわかりました。
これらの知見は、嚥下障害のある患者さんの食事支援に直接活かすことができ、より安全で効果的な嚥下障害治療につながることが期待されます。
 
 
 
この論文を要約すると・・・
食べ物を安全に飲み込むための研究のポイント
一番大切なことは、
食べ物を安全に飲み込むには、「舌と上あごの間で食べ物が『すれる』こと」が必要です。ただ舌の上に食べ物を置くだけでは、うまく飲み込めません。
 
実験でわかったこと
3種類のとろみ剤を比べました:
キサンタンガム系:少量で効果的(一番良い結果)
グアガム系:まあまあの量が必要
澱粉系:たくさんの量が必要
なぜキサンタンガム系が良いの?
1. 少しの量でちょうど良いとろみがつく
2. 唾液が混ざっても大丈夫
3. 力を加えるとサラサラになりやすい
 
 
 とろみ剤の種類によって飲み込みやすさが違います。特に「すれる」性質を持つキサンタンガム系が最も効果的でした。これは、お年寄りや飲み込みが苦手な人の食事をより安全にするのに役立ちます。

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