味覚異常の2割は口腔疾患!!
味覚異常の新しい発見:
口腔疾患の重要性と多様な治療法
こんにちは。今回は、味覚異常に関する最新の研究結果をお伝えします。
北海道大学の驚きの研究結果
最近、北海道大学大学院歯学研究科の研究チームが興味深い調査結果を発表しました。なんと、味覚異常の約5人に1人は口の中の病気が原因だったのです。さらに、半分以上の患者さんには、亜鉛のサプリメント以外の治療が必要だということもわかりました。
味覚異常ってどんな症状?
味覚異常には、いくつかのタイプがあります:
• 味がわかりにくい、または全くわからない
• 本来の味と違う味を感じる
• 何も食べていないのに味を感じる
• 味を強く感じすぎる
これらの症状の原因は様々で、亜鉛不足、薬の副作用、全身の病気、お口の中のトラブルなどが考えられます。
どうやって診断し、治療するの?
味覚異常の診断には、いくつかのステップがあります:
1. 詳しい問診
2. お口の中の検査
3. 味覚検査
4. 血液検査(特に亜鉛の量を調べます)
治療方法も患者さんによって異なります:
1. 原因となっている病気の治療
2. 亜鉛のサプリメント
3. その他の薬による治療
4. お口の中を清潔に保つケア
亜鉛サプリメントの効果は?
北海道大学の研究によると、血液中の亜鉛が少ない人(80 μg/dL未満)では、約60%の方に亜鉛サプリメントの効果が見られました。ただし、亜鉛が十分にある人では、効果が低いようです。
コロナと味覚障害の関係
コロナ禍以降、味覚障害の報告が増えています。研究によると、コロナ患者さんの約半数が味や匂いの変化を感じ、約4%の方が長く味覚障害が続く可能性があるそうです。
最後に
味覚異常の原因は、これまで考えられていたよりも複雑です。亜鉛不足だけでなく、お口の中の病気や心の問題も関係していることがわかってきました。私たち歯科医師は、患者さんの話をよく聞き、丁寧に診察し、必要に応じて他の専門医とも協力しながら、一人一人に合った治療法を提供することが大切です。
味覚は、おいしく食事を楽しむために欠かせません。味覚の異常でお悩みの方は、ぜひ歯科医院にご相談ください。適切な診断と治療で、また美味しく食事を楽しめるようになる可能性があります。
参考文献
HealthDay News. 味覚異常の2割は口腔疾患が主因で半数強に亜鉛以外の治療が必要―歯科外来調査. 2024/12/5.
厚生労働省. 薬物性味覚障害.
Ikeda Minoru. 2.味覚障害に対する亜鉛治療とその効果(<総説特集>亜鉛と味覚障害). The Japanese Journal of Taste and Smell Research 13 (1), 9-16, 2006.
Carenet. 味覚異常の2割は口腔疾患が主因で半数強に亜鉛以外の治療が必要. 2024-12-05.
北海道大学歯学部口腔診断内科. 味覚障害(亜鉛補充療法).