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老夫婦の『社会死』を防ぐために〜警察嘱託歯科医師として見た現実〜

◎老夫婦の「社会死」を防ぐために

〜警察嘱託歯科医師として見た現実〜

 こんにちは。私は開業歯科医として訪問診療を行う傍ら、警察嘱託歯科医師としても活動しています。今日は、私が日々の仕事を通じて感じている、高齢者の「社会死」という深刻な問題についてお話しします。

## 「社会死」って何?

 「社会死」という言葉を聞いたことがありますか?これは、体は生きていても、社会とのつながりが完全に失われてしまった状態のことを指します。特に高齢の夫婦が陥りやすい問題なんです。

## 悲しい現実

 警察嘱託歯科医師として働く中で、私はこんな場面に遭遇することがあります。誰にも気づかれないまま、老夫婦が自宅で亡くなり、何週間も発見されないケース。これが「社会死」の最も悲しい結末です。

 さらに辛いのは、介護が必要な老夫婦の場合です。一方が亡くなっても、残された方が助けを呼べず、そのまま亡くなってしまうことがあるのです。

## なぜ起こるの?

 では、なぜ老夫婦が社会から孤立してしまうのでしょうか?

1. 家族との距離:子供が遠くに住んでいたり、疎遠になっていたりすることがあります。
2. 健康問題:体の具合が悪くなって外出が難しくなると、自然と家に閉じこもりがちに。
3. 地域のつながりの薄れ:昔に比べて、ご近所付き合いが減っています。
4. サポートサービスの利用不足:訪問介護や訪問歯科などのサービスを知らなかったり、利用をためらったりしている方も多いです。

## 訪問歯科医としての役割

 私は訪問歯科診療を通じて、多くの高齢者と接する機会があります。実は、この訪問診療には大切な役割があるんです。それは:

1. 定期的な見守り:診療の度に生活状況をチェックできます。
2. コミュニケーション:おしゃべりを通じて、心の健康状態も把握できます。
3. 早期発見:何か異変があれば、すぐに気づくことができます。

## みんなでできること

「社会死」は決して他人事ではありません。私たち一人一人にできることがあります:

1. ご近所づきあいを大切に:たまには高齢者のお宅を訪ねてみましょう。
2. 定期的な連絡:離れて暮らす家族とも、こまめに連絡を取り合いましょう。
3. 専門家のサービスを活用:訪問歯科や訪問看護など、専門家の力を借りるのも有効です。
4. 社会参加のサポート:高齢者向けの活動やボランティアへの参加を促しましょう。

## おわりに

 高齢者の「社会死」は、私たち社会全体で取り組むべき課題です。訪問歯科医師として、私は単に歯の治療をするだけでなく、患者さんと社会をつなぐパイプ役でありたいと思っています。

皆さんも、身近な高齢者に目を向け、温かい声かけをしてみてください。それが「社会死」を防ぐ第一歩になるはずです。一緒に、誰もが安心して暮らせる社会を作っていきましょう。

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