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MRONJの最新治験と医師薬連携の重要性:医師薬研修会レポート

# MRONJの最新知見と医師薬連携の重要性:医歯薬研修会レポート

 こんにちは、皆様。先日、印旛郡市歯科医師会主催による東邦大学医療センター佐倉病院で開催された、MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)に関する医歯薬研修会に参加してきましたので、その内容をご報告したいと思います。

## はじめに

 まず、休診にしてまで参加させていただいたこと、そしてその間ご理解いただいた患者様やスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。また、このような貴重な研修会を開催してくださった関係者の皆様にも御礼申し上げます。

 今回の研修会では、MRONJについての最新情報や、医師薬連携の重要性について学ぶことができました。ここでは、その主な内容をわかりやすくお伝えしていきます。

## MRONJって何?

 MRONJは「薬剤関連顎骨壊死」の略称です。骨粗鬆症やがんの骨転移の治療に使われる特定の薬(ビスホスホネート製剤やデノスマブ製剤など)を使用している患者さんに、まれに起こることがある合併症です。

## 最新の診断基準と発症リスク

 2023年に日本口腔外科学会から新しい指針が出されました。これによると、MRONJの主な発症リスク因子には以下のようなものがあります:

- 口腔衛生状態が悪い
- 歯周病がある
- 歯の根元に炎症がある
- 顎の骨に炎症がある
- インプラント周りに炎症がある

 日本では、高用量のビスホスホネート製剤を使用している患者さんの中で、10万人あたり約1,600人がMRONJを発症するという報告があります。

【予防と治療について】

### 抜歯時の薬の休薬

 以前は、抜歯をする際にこれらの薬を一時的に休薬する必要があるとされていましたが、最新の指針では「原則として休薬しないことを提案する」とされています。

### 外科的治療の有効性

 最近の研究では、MRONJの程度(ステージ)に関わらず、外科的な治療が効果的であることがわかってきました。特に、症状が進行したステージ2および3では、外科的治療が推奨されています。

### 歯科治療への影響

 骨粗鬆症の治療薬を使用している場合でも、歯科治療に関して過度に心配する必要はないとされています。

## 医師薬連携の重要性

 今回の研修会で特に強調されたのが、医師(内科や整形外科など)と歯科医師と薬剤師の連携の重要性です。

1. **情報共有**: 処方している医師と歯科医師、薬剤師の間で、患者さんの情報をしっかり共有することが大切です。
2. **歯科受診の推奨**: 骨吸収抑制薬の処方を始める前に、歯科を受診することが推奨されています。

## まとめ

 MRONJは決して珍しい合併症ではありませんが、適切な予防と早期発見・治療によって、多くの場合管理可能です。そのためには、医科と歯科、薬科の緊密な連携が不可欠です。

私たち医療従事者は、常に最新の情報を学び、患者様に最善の医療を提供できるよう努めています。皆様も、定期的な歯科検診を心がけ、お口の健康維持にご協力ください。

今後とも、患者様の健康を第一に考え、質の高い医療サービスの提供に努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

## 参考文献

1. 米田 達郎 他(2023).「呉市における5年間の抗骨吸収薬関連顎骨壊死の発生率と傾向」.Osteoporosis International, 34(7), 1383-1391.
2. 日本口腔外科学会(2023).「重篤副作用疾患別対応マニュアル(案)」.
3. 日本歯科医学会(2024).「全国共通がん医科歯科連携講習会テキスト」.
4. 日本口腔外科学会(2023).「薬剤関連顎骨壊死のポジションペーパー2023」.
5. 日本口腔外科学会(2023).「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」.

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