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薬剤性歯肉増殖症の新しい治療法の可能性

【薬物性歯肉増殖症の新しい治療法:

広島大学の最新研究】

 こんにちは。今回は、薬物性歯肉増殖症という歯科疾患に対する新しい治療法の可能性について、広島大学の最新の研究成果をご紹介します。

【研究成果】薬物性歯肉増殖症の新規治療薬候補の発見 根本的な治療法の開発へ(広島大学)https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/84268

【薬物性歯肉増殖症とは?】

 薬物性歯肉増殖症(やくぶつせいしにくぞうしょうしょう)は、ある種の薬を服用することで起こる副作用の一つです。主に以下の薬で発生することが知られています:

シクロスポリン(臓器移植後の拒絶反応を抑える薬)
- ニフェジピン(高血圧の薬)
- フェニトイン(てんかんの薬)

 これらの薬を服用すると、歯ぐきが異常に肥大してしまうことがあります。その結果、歯磨きが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。

【 これまでの治療法と問題点】

 従来の治療法には、主に次の2つがありました:

1. 原因となっている薬を別の薬に変更する
2. 肥大した歯ぐきを手術で取り除く

 しかし、これらの方法には問題がありました。薬を変更することで、本来治療すべき病気に影響が出る可能性があります。また、手術で歯ぐきを取り除いても、薬の服用を続ける限り再発の可能性が高いのです。

【広島大学の新しい研究】

 広島大学の研究グループが、この問題に対する新しいアプローチを発見しました。その鍵となるのが「NR4A1(エヌアールフォーエーワン)」というタンパク質です。

 研究グループは、薬物性歯肉増殖症を引き起こす薬がこのNR4A1の働きを抑えてしまうことを発見しました。そして、NR4A1の働きを活発にする物質「n-ブチリデンフタリド(BP)」を使うことで、歯ぐきの肥大を抑えられる可能性があることがわかったのです。

【今後の展望】

 この研究結果は、薬物性歯肉増殖症の新しい治療法につながる可能性があります。特に、BPを使った治療法の開発が期待されています。

 ただし、まだ研究の初期段階であり、人間への応用にはさらなる研究が必要です。安全性や効果の確認、適切な使用方法の確立など、解決すべき課題がまだ残されています。

【 まとめ】

 広島大学の研究成果は、薬物性歯肉増殖症で悩む患者さんに新たな希望をもたらす可能性があります。今後の研究の進展に注目していきたいと思います。

 現段階では、まだまだ問題が多いです。例えば、NR4A1の促進は、免疫バランスを崩したり、細胞死を誘導したり、発癌リスクを高める可能性があります。また、「n-ブチリデンフタリド(BP)」は、研究用試薬として使用される化学物質であり、経口摂取は有害で、生体での安全性が認められているものではありません。高齢者が増え、在宅でも院内でも薬剤製の歯肉炎は以前よりも増加しているような気がします。

 当院では、最新の研究動向を踏まえつつ、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供できるよう努めてまいります。歯ぐきの腫れや違和感を感じた際は、お早めにご相談ください。

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