わかな歯科

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訪問診療と往診の違いについて

私も歯科訪問診療を始めて15年くらい経ちました。

その間、多職種連携の勉強会など色々なところで説明をさせてもらって、大分ご理解いただけてきたと思いますがそれでも、まだ医療従事者であっても、歯科訪問診療についてご理解いただけないことが多いです。

 往診とは通院出来ない患者さんの要請を受けて、医師、歯科医師がその都度、診療を行うことです。突発的な病状の変化に対して、救急車を呼ぶほどでもない場合など、普段からお世話になっているかかりつけ医にお願いして診療に来てもらうもので、基本的に臨時手段です。ただし、かかりつけの歯医者さんがいなく、急を要するものでない初めての診療の依頼に関しては、全身状態や内服の履歴、歯科処置を行う上で必要な資料(全身状態を把握するための検査結果や内服履歴等)が無いため、事前にご用意していただいてご相談いただくか、一次、二次、三次医療機関に連絡してご相談いただくかを提案致しております。

それに対して、現在私たちが行っている歯科訪問診療は、毎週○曜日の○時に約束して歯科医師が訪問の上、診察することです。1週間ないし2週間に一回の割合で定期的かつ計画的に訪問し、診察、治療、薬の処方、療養上の相談、指導等を行っていきます。患者さんやご家族の方からご相談を受けた時点で、これまでの病歴、現在の病気、病状などを詳しく伺うと共に関係医療機関などから詳しく情報収集を図ります。その上でどのような治療を受けられたいか、ご家族の介護力や経済的な事情なども詳しく伺いながら、治療計画、訪問スケジュールを立ててたてていきます。

どちらの形態においても、出来る範囲内での診査、診断、処置とはいえ、院内と同様、歯科医師、歯科衛生士の指示にご理解いただけない場合は、歯科訪問診療をお断りさせていただいております。

さらに、歯科医院は昨今、週刊誌に不潔の代名詞のように叩かれておりました。ニューヨークタイムスに掲載された職業別新型コロナウイルスの感染リスクにおきましても、最も感染リスクの高い職業は歯科医師や歯科衛生士です。それでも、歯科医院でのクラスター発生はあまり耳にしなかったのは、歯科界の自助努力によるものと思われます。院内だけでなく、訪問先でもそれを維持することは大変で、家族や施設の協力があってこそ、『感染しない、感染させない』を実践できるものと思います。だから、必ず、歯科訪問診療を行うときは、必ず、水道が近くにある場所で処置を行います。それも拒否されるときは、お断りさせていただく場合があります。私は、外からの雑菌を一番最初に侵入させてしまう口腔という場所だからこそ、『きれいな水でうがいをすること=創部を清潔に保つこと』は歯科治療における基本であると考えております。

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