成長ホルモン(IGF-1は諸刃の剣)~20年の筋肥大の流れ~
先日、21年間続けていたアナボリックステロイドからの引退を公言し、仕事としてアナボリックステロイド、成長ホルモン、IgF-1のパーソナル指導も行っている筋肉系youtuberの方がお亡くなりになりました。プロのボディビルダーが筋肉を大きく見せるために、アナボリックステロイドを長期に使用して若くして命を落とすことは知られています。この方も、アナボリックステロイドの使用を止めてからわずかな期間でお亡くなりになられています。アナボリックステロイドの危険性は、よく知られていると思うので、同時に使用していた成長ホルモンIgF-1についてお話しようと思います。
成長ホルモンの(解剖整理~疾患まで) ゴロー/イラストで学ぶ体の仕組み
【医学】筋肥大のメカニズム 医学&統計 library
25年前、私も骨格筋肥大のメカニズムについて実験していたこともありますが、さすがにここまでの事は判っておらず、アナボリックステロイドが筋肥大に影響があると言うことくらいでした。その時に、IGF-1と言う成長因子がこの筋肥大に大きく関わっていること位しかまだ判っていなかったと記憶しています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/joralbiosci1965/45/6/45_6_418/_pdf/-char/ja
N.Wakana et al.;Japanese Jarnal of Oral Biology 45(6),418-427,2003.
ある時、
『この動物実験は、歯科では臨床にどのように結びつきますか?』という質問を受けました。
私は、苦し紛れに
『もし、このIGF-1という成長因子を、老人などに注射などで筋肉を付けたい場所に部分的に筋肥大を起こすことが出来れば、リハビリテーションなどに役立てるのではないか?ただし、過剰に成長ホルモンを投与すると、がんなどのような副作用を引き起こすかのではないか。つまりは、筋肥大のメカニズムを知ることとはオーラルリハビリテーションにも重要ではないでしょうか。』とお話したところ、鼻で笑われた事を思い出しました。
それから25年、実際に、IGF-1を局所投与しているボディビルダーの方が、実際に身体にどのような変化が起こったかを話しています。
ばれないドーピング・IGF-1の効果についてビッグアームが語る ビッグアーム切り抜き【公認】・youtube
『IGF-1を使用すると、体重が減少していても筋肉が減らずに、しかも大きくなっている。しかも局所に使用してるのに、体全体がバルクアップし大きくなっている。しかも、一度局所にIGF-1を注射して膨らませて肥大した筋肉はしぼまない。』
それからしばらくして、この方は20年続けたステロイドユーザーを引退してまもなくお亡くなりになりました。アナボリックステロイドを使用していたボディビルダーが短命なのは周知の事実ですが、では、IGF-1に副作用はあるのでしょうか?
この成長ホルモンの副作用について語っている方は、アメリカ出身の有名ボディビルダーです。
この中で
『基本的に全ての身体の臓器を成長させているんだ。ということは、おそらく心臓もでかくなっていると言うことなんだ。』
『みんな50歳で心臓発作をおこすのは、心臓肥大があるからなんだ。すべての臓器が大きくなってしまう』
リッチは、2017年に亡くなっています。最後の追加の映像では、インスリン様増殖因子IGF-1による、低血糖の状態だと思われる映像も映っていました。
成長ホルモン(IGF-1)はもろ刃の剣 KAIZEN FITNESS 101
こちらはこの話の表題にもなっている、成長ホルモンのメリット、デメリットを説明してくれてます。
『IGF-1は、筋肉の合成と修復を助けます。脂肪組織を減らしながら筋肉を増やしてくれますし、脳内では、神経発生を増やしてくれ、脳の神経細胞が増えるのです。』
『加齢で歩けなくなり、ボケる。これは、成長ホルモンが足りないからです。となると、ホルモン補充療法は利益しかない。しかし、動物実験では、成長ホルモンを減らすと寿命が50%伸びました。人間では、100歳以上の高齢者はIGF-1レベルを減らす遺伝子を持っている人が多い。おかげで老化をもたらす酸化ダメージを軽減することができるのです。ということは、成長ホルモンを減らすと長寿につながるかもしれません。しかし、筋肉の衰退、不妊、ボケと性欲減退と引き換えに・・・ということです。
これは私の私見ですが、人間の身体は、ホメオスタシスという生体の変化を拒み、一定の状態をキープしようとする働き【恒常性】があって、一方で無理に何かを取り入れたらもう一方でそれを排除するように生体は常にバランスをとっている、過度に機能を高めたがために寿命を削ることになる、生きるというバランスを崩すきっかけになってしまうかもしれません。
最後に、
『普通のエクセサイズで余った脂肪を減らし筋トレで筋肉をつけて脳細胞を増やすこと、ポリフェノール食品で抗酸化効果を高めること、バランスの取れた食事を心がけ、カロリーを制限することが重要である』ということは確かなことです。