わかな歯科

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10月20日(木) ビーバー号出勤にて休診とさせていただきました。

10月20日(木)本日は、千葉県歯科医師会歯科保健巡回診療車(ビーバー号)で歯科検診に伺い、誠に勝手ながら休診とさせていただきました。そこの施設の職員さんたちもとても優しく、子供たちもぐずったりもせず一生懸命頑張ってくれました。

そんな中、よく聞かれる質問に
『口から食べていないけど、歯石がよくつくのですがどうしてですか?歯医者さんで歯石をすぐに取ってもらった方がよいですか?』
口から食べていない子供たちや大人の人でもこういったことはよく聞かれます。考えられることはいくつかあるのですが、口から食べないで経管栄養などで栄養を摂取している方で、バギーや車椅子で生活されている場合、栄養剤などを十分に与えられていても栄養が偏っていると、身体の電解質バランスが崩れ、血中のカルシウムの濃度が高くなることで歯石が作られやすくなります。
その昔、カルシウムがたくさんは入っていると言ううたい文句の栄養剤があり、これを摂取すれば骨が丈夫になるとして使用されていましたが、実は、骨は、カルシウムをたくさん摂取しただけでは強くすることはできず、
①しなる、圧迫されることで変形して骨は硬くなる
②日光浴などで作られるビタミンDがないと骨を作れない 
③口から食べることで消化管の動きが活発になるので、動きが悪いとせっかくのカルシウムも吸収されない。 
と言うことから、せっかく血液に取り込んだカルシウムも取り込んだだけでは骨は丈夫にはなりません。取り込んだ余剰のカルシウムが血液中に増えると、唾液中に含まれるカルシウムの量も多くなるという報告もあります。唾液中のカルシウムの量が多くなると歯垢の量に伴って歯石も作られやすくなります。
経管栄養で食物が口腔を全く通過しない場合であっても歯垢は付着するので、口の中に取り残された歯垢は2日くらいで歯石に変わります。特に経管栄養の人の場合、口腔内のPHが高いことから通常の口腔細菌叢と違い歯垢がつきやすいこと、口腔周囲筋の発達が未熟であまりうまく使えない場合、唾液が多くても歯垢の停滞が起こるので、筋肉の動きにくい部位に歯石がつきやすいことから歯石の沈着は起こりやすいと言われています。
また、歯石とは、リン酸カルシウムで出来ていて、今はあまり使われなくなりましたが、その昔には『歯科でかぶせ物を装着する最も硬いセメント』として使われていたものと同じ成分で出来ており、硬い歯科用のセメントが歯にくっついているようなものです。
更に余談ですが、このような方の場合、普段、緑茶やココア、コーヒーなどを多量に飲んでいると、その中に含まれる”シュウ酸”を過剰に摂取することとなり、消化管から吸収されたシュウ酸ナトリウムは尿路でカルシウム結合して『尿路結石』を生じてしまいやすくなることも知っておくとよいです。
すぐに歯石を取る必要があるかないかですが、、小さいお子さんでバギーでの生活でまだ首の筋肉が弱く、口腔周囲の機能も未熟であるが、唾液の分泌が良く、虫歯もないし、歯肉の炎症も見られないので、すぐに歯石などをとる必要はなく、先ずは、かかりつけの歯医者さんを見つけて、お互いに慣れてから歯石の除去をする方がよいと説明しています。その場だけの関係を持つことではなく、経緯を踏まえて長期間診ていただける様な歯科医院を見つけることが大切です。

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