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高齢者の脱水の評価について

高齢者の脱水は、入院や死亡率の増加につながります。脱水症を適切に評価することは重要です。脱水を評価する上でいくつかの方法がありますが、どの評価が有用かといった論文を国立長寿医療研究センターの老年内科のHPで紹介してくれています。

『Is this elderly patient dehydrated?Diagnotic accuracy of hydration assessmenmt using physical signs, urine and saliva markers.』

Matthew B.Fortes,PhD et al.The Journal of Post-Acute and Long-Team Care Medicine.Vol 16,issue 3,P221-228.March 01,2015.

https://www.jamda.com/article/S1525-8610(14)00614-8/fulltext

Matthewらは,日常的に脱水の評価に使用されている身体的徴候と,尿や唾液中の非侵襲的な脱水マーカーの診断精度を検討しました。

脱水の評価は、脱水の7つの身体徴候(頻脈(100bpm以上)、収縮期血圧の低下(100mmHg未満)、粘膜の乾燥、腋窩の乾燥、皮膚の張りの低下、目のくぼみ、毛細血管の再充満時間の長さ(2秒以上))、尿の色、尿比重、唾液の流量、唾液の浸透圧で行われました。

脱水は「水分喪失型」(血漿浸透圧>295mOsm/kg)、「水分・溶質喪失型脱水」(血中尿素窒素/クレアチニン比>20)に分類されました。

結果は、身体的徴候はいずれも脱水の検出感度が低く(0%~44%)、収縮期血圧の低下のみが水分・溶質喪失型脱水の診断に役立つ可能性を示されました[診断オッズ比14.7]。

尿色,尿比重,唾液流量のいずれも脱水を識別することはできないというものでした。

何が言いたいいかと申しますと、

『身体兆候や尿量、尿比重、唾液流量は、普段の状態を把握していないと脱水かどうかを判断することは難しい。しかし、収縮期血圧の低下による判断は、脱水の診断に役に立つ』

と言うことです。

血圧の測定は、色々な情報をもたらせてくれます。

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